Episord 41 エド・サリバン・ショー |
「初めての時はいつも心配だった。外には表わさないけれど、みんなナーバスになっていた。アメリカ行きは大変なことだった。イギリスでは、どうしてアメリカに行かねばならないんだという批判もあったんだ」(リンゴ・スター) |
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「アメリカで起きたことも、結局はイギリスで起きたことと同じだった。ただ、スケールが十倍だった。だから最初は、すべてが初めての出来事のような気がしたんだ」(リンゴ) 「エド・サリバン・ショー」による“効果”は、すぐに現われた。ビートルズは、音楽雑誌ビルボードの4月4日号のシングル・ヒットチャートで1位から5位までを独占し、さらに31位、41位、46位、58位、65位、79位に彼らの曲が名を連ねた。 アルバム部門でも1位、2位を独占。「Can't Buy Me Love」の予約注文は200万枚となった。ちょっと前まで、全く彼らを無視していたキャピトル・レコードの交換手達さえ電話を受けるとこう対応した。 「おはようございます。ビートルズでおなじみのキャピトル・レコードでございます」 ワシントンの大競技場(コロシアム)で、ビートルズの初めてのコンサートが行われた。普段は野球などを行う場所である。その夜、ビートルズはワシントン大使館に招かれ、出席した。 なんと大使館でも、ビートルズに対する扱いは、イギリスとまったく変わらなかった。手に手にワイングラスを持った中年婦人たちがビートルズを取り巻き、サインをねだったのである。 どういうつもりか大使館員はビートルズを連れまわし、館内の来客の相手をさせたり、サインをさせようとした。ジョンは、これを断固拒否。1人の若い女性がリンゴのそばに行き、バッグから出したハサミで髪の毛を切り始めた。ジョンは部屋から逃げ出していたが、ポールとジョージはその光景を目撃することになる。 さすがのエプスタインも、この場も治めることは出来なかったのである。あとで大使夫妻は陳謝したが、ビートルズの怒りは治まらなかった。 「大使ご夫妻はとてもいい方だったけれど、ビートルズはあのレセプションに怒っていた。あれ以来、ああいう種類の招待は全て拒絶するようになった」(エプスタイン) エプスタインは、この混乱にどう対処するのだろうか。 |
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