Episord 38 ピート・ショットンへの援助 |
ジョンのピート・ショットンに対する信頼は、全く揺るぎないものだった。功成り名遂げた者が、かつて知り合いだった男に、ちょっといい処を見せてやろうというような、そんな薄っぺらな友情の押しつけではなく、そうすることがごく当然だというように、ジョンはピートに対するのである。 |
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だが、ピートによれば、あれは自分のことを歌っているのだという。 … I do appreciate you being around. 「そばにに居てくれるだけで感謝する」というあの歌詞は自分に対して言っているのだと。 ピートは、ジョンからもらった2,000ポンドで馬券売り場の営業許可を得ようとしたが、教会の牧師に反対されて断念した。教会の傍でそんな商売をされては困るというわけである。結局、2,000ポンドは何となく消えてしまった。 車を買ったりしたのだそうだ。ジョンにそのことは正直に伝えたそうだが、自分もそんな風に2,000ポンド使いたかったと皮肉を言われたそうだ。しかし、ジョンはこの後もピートに対しての援助を惜しまなかった。 巨万の富を手にした頃、もう一度ピートに大金を出している。たとえそれが再び無駄な金になったとしても構わないという感じだったようた。 巨額と言っていいほどの金をピートは“援助”された。この結果、ピートは店舗を購入し、スーパーマーケットと、洋品店を経営する。(※その後、洋品店は売りに出されたが、スーパーの方は現在でも繁盛しているそうだ) これほどまでにビートルズに親しかった人間は、そうはいないだろう。そんなピートが改めてビートルズについて語っている。 「ジョージは本当にイイやつだった。最初に僕のスーパーに出資したいと言ったのは彼なんだ。結局、ジョンが1人で援助してくれたんだけどね」 「一等解りにくかったのはポールだね。とても愛想がいいんだけど、なかなか本心を見せないんだ」 「リーダーのジョンに、対抗しようとしたのはポールだけさ。ジョンもポールには一目置いていたし、彼の才能を認め、尊敬もしていたと思う。でもビートルズは自分が作ったんだということをジョンはいつも意識していたよ。ポールがそうでないような態度をとると不機嫌になったからね」 「1966年の末頃からジョンは外に出なくなった。読書に没頭していた。キリストとか霊界とか、チベットとかフロイトとか...要するに彼は退屈していたんだ。自分は何処にも行く場所が無い男だと思っていた。だからあの曲をつくったんだ。『ノーホエア・マン』をね」 「ノーホエア・マン」は、アルバム「RUBBER SOUL ラバー・ソウル」に収録。日本語のタイトルは、「ひとりぼっちのあいつ」である |
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