Episord 37 友情 |
クオリーメンからビートルズとなり、成功したジョン・レノン。ところで、ジョンと幼なじみの悪ガキ、あのピート・ショットンのその後はどんなものだったのだろう。 |
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楽しさを求めていたピートにこの仕事はピタリだった。この頃、彼はジョンの友達だったあのスチュアート・サトクリフとも知り合いになっている。彼が見たスチュアートも、やはり“ものすごい才能のあるアーティスト”という印象だったと言う。ジョンは自分がやりたいことを親友にもやらせる男だから、スチュアートが音楽をやったのもそういうことなのだろうと彼は分析している。 やがて、ジョンはハンブルグに出掛けることになるのだが、何度か目には、ピートを誘っている。しかし、ジョンとしても、まだその頃は、演奏して得た金をそのまま使ってしまうような生活だったから、ピートに金を出すまでのことは出来なかった。 ピートは仕事を続けなければならないと断っているが、金銭的な問題もあったのではなかろうか。 ある日、ピートは、妻とともに南部にある姉妹の家に居た。 そこでラジオを聴いていると「突然、17位に新登場という紹介で『ラブ・ミー・ドウ』が掛かった。僕はトップ20に入るアーティストは全部スターだと思っていたから、とても信じられなかった。あのビートルズがスターだなんて」 アルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」が発売された時には、ミミの居た家に彼は招かれた。ジョンは、幼なじみの悪友と一緒にこのレコードを何度も何度も聴いたのだ。 「ジョンはもの凄く興奮していた。最高だよ、最高だよと連発していたよ」おそらく、ジョンにとって、一番自分の気持ちを素直に表わせる相手は、やはりピート・ショットンだったのだろう。 この後ジョンは、子供の頃から描きためていたイラストを一緒に整理する仕事をピートに頼む。その時、ピートの仕事の話などを聞いた後、クリスマス・プレゼントだと言ってピートに茶色い封筒を差し出した。 「ジョンの給料袋で、開封していなかった。貰えないって言ったんだけど、どうってことないから受け取れよと言われたんだ」 翌日、開けてみると5ポンド札が10枚。50ポンド入っていた。 この頃、ピートの週給は10ポンドだったから彼にとっては大金である。しばらくして、イラストを中心としたジョンの本が出版されることになった。ピートはイラストの整理を頼まれた理由がやっと解った。 校正刷りの段階の物を見せながら、“最初に作品を見てくれたピートに捧ぐ”と書くつもりだとジョンは語っていた。結局、ミミが気分を損ねると困るからと言うので、それは取りやめられるのだが。 「最初のページに載っていたのはカーリー・ヘアの少年のイラストだった。頭と手にへんてこな鳥を乗せている縮れっ毛の少年。あれは僕なんだよ。ジョン流のやり方であの本を僕に捧げてくれたんだ。ミミのご機嫌を損ねないようにしてね。本当に嬉しかったよ」(ピート・ショットン) |
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