◆本当は誰のプレイなのか?◆
「Helter Skelter」のベース奏者をめぐって                         
 「Helter Skelter」の公開に伴い、色んな方々からご好評、賛辞のお言葉を頂き、とても嬉しく思ってます。
で、お二人の方からこの曲のベースはジョンが弾いてるのですか...というご質問がありました。確かに録音記録にはジョンのフェンダー・ベースYと言う記載があり、当然のようにジョンプレイとされてますが、さてどうなんでしょう?そこで再度オリジナルを執拗に聴いてみたのですが...解りません(笑)
しかし、どう聴いてもウマ過ぎるんですよね。この時代はポールがピアノやらギターやらドラムやらで快刀乱麻を繰り広げている頃で、時としてジョンやジョージがベース奏者としてかり出される事は多々ありました。
そこで誰が弾いたのか?という事を自分なりに検証してみようかなと...(^_^;) あくまで私見ですよ。
まず一番最初に気になるのが、ポールがやっとの思いで手に入れたフェンダーのジャズベース。コシのある太い音でベースギターとしては最高の逸品。ポールはこのベースを1968年に手に入れてます。それ以前はジョージのジャズベースを左用に弦を張り替えて使ってました。
話の順序として、とりあえず「Helter Skelter」は置いておいて、まず「Back In The U.S.S.R」の話をします。
U.S.S.Rの記録にはジョンのベース、フェンダーYが記載されてるコトから、これもジョンが弾いたように言われてますが...果たして本当にジョンが弾いたのでしょうか?あのベースは凄過ぎます。神業みたいなフレーズのベース、とてもじゃないがジョンではあれだけ弾けないのではと思うのです。この曲には確かに2本のベースが録音されてます。左サイドで忙しなく弾き廻される独特のフレーズと中央でルート音のみを8ビートで淡々と刻み続けるベース音。私達のコピーもTeraの意見でこれを取り入れてます。
この曲の最初の録音は1968年8月22日、例の有名なポールとリンゴの諍いがあり、リンゴが出てったって、あの事件です(^_^;) リンゴが頭から湯気出して出てった後、不思議と3人で録音してるんですよね。 リンゴ立つ瀬無いねー(笑) ポールがドラム、ジョンがベースで、ジョージがギターとこのユニットでリズムトラックを第5テイクまで録音したと言います。で、次の日の8月23日にこの第5テイクをリダクションして第6テイクとし、ポールとジョージのベース、ポールとジョージによるギター、ドラムと手拍子にバックコーラスをオーバーダブしたとあります。
で、私の思う処はココなんですよね。このオーバーダブの時にポールがジャズベで弾いたんじゃないかと。やっとの思いで手に入れたジャズベース、使わないハズが無いでしょう。それにリンゴが飛び出して行ったにも拘わらず、自身がドラムを叩いてまでも録音を続けたかったと言う処を考えると、かなりこの曲に入れ込んでいたのは事実...だから、最初のリズムトラック録音時は、適当にルート音を8ビートで刻んでたらいいから、ジョン頼むねみたいな感じだったのではと(^0^)> で、曲の形が出来上がって来て、さぁ仕上げはコレだ!とばかりにポールがジャズベースで張り切ったんじゃないかと思うんですよ。ただし、文献にポールのジャズベースは載ってなくてリッケンバッカー4001Sとなってはいるのですが...ま、リッケンであったとしても実際にプレイしたのはポールなんじゃないかと。で、ジョンも実際にベースで参加したのだから記載があっても間違いではない、とこう考えるのですが...
 次に上げるのが「While My Guitar Gently Weeps」ポールのベースプレイの中でも名演奏と呼ばれる1曲ですね。この曲の録音記録にもリッケンバッカー4001とフェンダー・ジャズ・ベースの記載があります。「ズン・ズン・ズガガガ」少し歪みながらも芯のある図太い音色。それに加えてミュートシステムによる残響の少ない独特な音色が、この曲のベースのキャラを際立たせています。
中期、アルバム『Revolver』から『Sgt.Pepper's』『Magical Mystery Tour』にかけてリッケンバッカーが駆使されました。「I Am The Walrus」や「All You Need Is Love」などのフィルムでの露出も多く、中期以降の殆どはリッケンバッカーが使用されてた印象が強くて、この「While My〜」も当然「これがリッケン特有の音だ!」と何の疑いもなく思っていたワケです。私自身が4003を購入するまでは(^_^;)
4003を購入して意気揚々と「While My 〜」のベースの再録をした時の事。近い音になるだろうと高をく
くった思いは完璧なまでに打ち砕かれました(^_^;)アンプシュミレーターをいじりまくろうが、エフェクターを換えまくろうが、あの歪んだ太い音にはなりませんでした。やはりアンプ出しでないとダメなのか?楽器の違いか?いや、4001の後継モデルの4003で、いくらモノが違うとは言え、基本的にそう変わるモノではありませんから、何らかの近い音が出るハズです(^_^;) ところが、どうあがいても出ない。Teraによると、実はライン録りでミキサー側で何らかの手を加えたのでは?などという提案もありました(-。-*) それは「嘘つき女」の例のファズ・ベースのエフェクターを作ったのがアビーロードのエンジニア達だったからです。ですから某かのエフェクターないし、ミキサー側での小細工?という観点からの推測でした。が、結論は出ず(^_^;)
そしてその後気付くのですが、この曲よく聴くと、やはりベースが2本入っていたのです。メインの右Chの独特なベースに耳を奪われがちですが、左Chに輪郭をぼかしたベースが薄く入ってるんです。最初のサビの辺りから最後までずっと曲全体をフォローするように目立たないフレーズで入ってます。ヘッドフォンで注意深く聴くと聞こえます。これがジャズ・ベースかぁ?でも、自分なら気に入って買ったばかりのジャズベをメインで使うよなぁ。でもミュート機構があるのはリッケンだし、やはりリッケンなのかなぁ(^_^;)
その数日後、私はジャズベースにもちゃんとミュート機構が付いているという事実を知りました。そのときハタ!と思ったんです。ひょっとすると右Chの独特なベースはリッケンじゃなくて実はジャズベースだったんじゃないかと(*゚Д゚) ミュートが効いた音=リッケンと単純に思い込んでたが、根本的にベース自体が違っていたのなら似るはずがないと。
そんな考えもあって、中後期のベース=リッケンバッカー4001S この公式、実は間違ってるのではないかと思えて来たワケです。
いえ、マジカルまでは間違いなくリッケンでしょうが、ホワイトアルバムの収録が始まった68年、ポールが念願のフェンダー・ジャズベースを手に入れた状況を考えると、メインはジャズベースだったんじゃなかったのか?ただ、我々は記載にあるのと、それまでのリッケンの露出に惑わされ、全てに於いてリッケンがメインだと思い込むようになっていたのでは?と考えたのです。
 やっと「Helter Skelter」(笑) これでようやくこの曲の話が出来る段階に入りました(;´Д`A 皆様お疲れさまです。で、このヘルターのベースの録音になって音作りに取り掛かったワケですが、この曲も「While My 〜」と同じ音質だという事にすぐ気付きました。録音記録には、これまたジョンのフェンダー・ベースYとポールのフェンダー・ジャズ・ベースの記載(^_^;) でもポールには「?」が付いていて一般的にはジョンのプレイと言われています。
ジョン、ポールのいずれかは別として、これがフェンダーのベースの音であるのなら「While My 〜」は間違いなくフェンダー・ジャズ・ベースだと言えるワケです。で、本題のこの曲のベースは本当にジョンなのか?と...どちらも基本的にフェンダー社のベースなので、音の本質はそう違わないでしょうから、どちらのプレイかと言うのは解りません(^_^;) ただ自分が弾いてみて思ったのですが、このベース、
そんなに凝ったリズムではないのですが、妙に八分音符の羅列の部分が弾きにくくて野暮ったく聞こえてしまうのです。原曲はこの辺りを巧く弾きこなしているので全く気にはなりませんが、私の場合「?」が多々あるワケです(笑) で、やっぱりポールか?(´艸`)
「ジョンもそれくらい弾けるだろ、単にオマエがヘタなだけ!」とお声が聞こえて来そうですが(笑) んーなんかねー巧いんですよ。「それにポールはカジノでリードギターも弾いてるじゃないか。それなのに更にベースもか?」そういうお言葉もあるでしょうね(^_^;)
この曲のリズムギターはジョンじゃなくジョージでしょう、部分的にポールと同じパートを弾いてるかも知れませんが...じゃあジョンは何する?ピアノもオルガンも無い曲、後のオーバーダブではサックスの無茶吹きやってますけど(笑) で、取りあえず、「ジョン、ベースを頼むよ」みたいになったのではないでしょうか。
しかし、しかしなんである(^_^;) この曲もよく聴くとベースが2つ聞こえるんですよ。とは言っても3:04のブレイク後の3:10以降。片方はそのまんま続けて行くのですが「While My 〜」の時のように薄〜く入ってるのが聞こえるんです。喧しさを演出するタメの隙間埋め的な存在なのかと思ったりするのですが、この聞こえないようなベースをポールがわざわざ弾くと思いますか?そこなんですよね(^_^;) ジョンが弾いたのは確かに間違い無い事実ではあるけれど、ミックスの時点でカットされたか低く抑えられたか。それからエンディングでは下地に廻されたのでは?と思ったワケです。このアルバム制作が始まった68年の9月3日には、スタジオに8トラックのレコーダーが配備されてますから、ポールにしたら自由自在、何でもアリだったのではないでしょうか?
と、長々と持論を述べて来たワケですが(笑) 結果「Helter Skelter」は誰が弾いたのかという決定的な結論には達しませんでした(爆) 私の私見としましては、たぶんメインはポールだろうと言う言い方になりますが...ま、どーでもいいですよね(^_^;)
このどーでもいいような話題を執拗にほじくり返して吟味する...それもビートルズのひとつの楽しみでもあります(^0^)>
こんなバンド、他にありませんよね(笑)


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