◆「思い出の曲」◆ Back In The U.S.S.R
"縦横無尽のベース・ランニング...とても出来たモノではありません"        Download

 ビートルズの曲は200数曲とたくさんありますが、それぞれの曲にそれぞれの思い出、思い入れ、イメージがあると思います。その曲を聴くと当時のことを思い出したり、懐かしく思ったりします。私個人としましては今回の「Back In The U.S.S.R」がそういう曲のひとつに当たります。バンド結成当時、テクニックなどままならないメンバーが演るには簡単でまとまりやすいと考えたのしょうか、この曲をよく演奏したのを覚えています。この曲のアイデンティティはなんと言ってもあのジェット音。これが無くちゃあ始まりません。
しかし、ライブでやるにはジェット音など出せません。そこで考えたのがギターの弦を擦るという方法(笑) 当時ロック界に台頭してきたハードロックのギター奏法で、弦を擦って歪んだ音を出すというのがあって思い付いたのです。リアピックアップの処からギターネックの上部までピックを平らにして弦を擦り上げるワケです。「ギャワワワ〜〜〜〜」と凄まじい騒音を発している最中に「1・2・3・4」と始めるのです(爆) 我ながらナイスアイディア、けっこうイケるじゃん、みたいな感じでやっていたのを思い出します。
しかし、今から考えると微笑ましいですね。15、6歳のガキが集まってこの「Back In The U.S.S.R」を演奏するんですから。ヴォーカルもポールに似せようと太いおっさんまがいの声で頑張るワケです(^_^;) あれから30数年経ちましたが、あの頃も今と変わらぬ声で歌っていたのかと思うと、恥ずかしくてなりません(笑)
さて、実際の録音についてのエピソードですが...問題は左側から聞こえるギターリフとベースの絡みでした。昔はルート音の単音で8ビートを刻んでましたが(笑) 実際はそのような単純なものではありませんで、ポールはノリ過ぎといいますか、それ以上にハイな感覚で弾いているようです。跳ねまくってる上に恐ろしいほどの早弾きです。ポールのドラムに対する批判が原因で脱退するとまで宣言して出て行ったリンゴのへのショックを微塵も感じさせないベース・ランニング(爆)さすがはポールです(^0^)
このベースのガイドをTeraに作ってもらって最初に聴いた時、あまりの早さに開いた口が塞がりませんでした。"冗談やろー" "ほんまかいなー"というようなベース・ランニングです。何回も聴いては音を取って練習をする、これを繰り返しながらなんとかやりました。殆どを終えようとした時、Teraからの連絡。「ベースは"ベンベケ・ベンベケ・ベンベケ"という16分音符フレーズを増やすだけであのジャカジャカしたアタック感が出ると思います。最終的にはだいぶレベルが下がるので曲中の細かいフレージングはあまり気にせずに、ノリ重視のほうが良い思います」.....はよ言うてや!難儀してコピったやんかー ヽ(`Д´)ノ
あとは何と言ってもあのジェット音。この音源はプレ王で知り合ったブロード・BANDさんにお願いして提供して頂いたモノです。1年半くらい前、彼が公開したこの曲で、わざわざ福岡空港にまで行って録ったジェット音源を取り入れたという逸話が凄く印象に残っていまして、この曲を自分が演る時には是非とも頂きたいと考えておりました。そんな経緯を説明し、お願いしたところ快く了承して頂き、めでたく完成の日を迎えられた次第です。
ここに来て解ったのですが、ビートルズのオリジナルでのこのジェット音、実は当時の彼らの流行であった"テープループ"でやっていたという事実。ジェット音のテープを輪にして曲の最初から最後まで回し続けるというものなのですが、Tera自身が感心したのは、その割付けと言いますか、最初から最後までが寸分無くキッチリと繰り返されていると言う事でした。彼が言うには恐らくエンジニアがテープの切った貼ったを繰り返してキチンと繰り返される長さを見いだしたのではという事です。私も彼と同じくイントロと間奏、エンディングの3箇所くらいなモンだろうという印象がありましたが、なんのなんの、ずうっと繰り返されていたとは思いも寄りませんでした。人間の感覚、イメージなんてそんなものなのかも知れませんね。

ベース・ランニングのガイド                         2007,08,28    by Cuts