◆「短い難曲」◆ Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band
 とうとう突入...避けたいけど避けて通れない道                  Download

 「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band」といえばビートルズの最高傑作アルバムとか、ロック史上初のコンセプト・アルバムで以後の音楽会やメディアに多大な影響を及ぼしたアルバムと言われます。
当時アルバムは全英で21週、全米では15週連続1位を記録しました。このアルバムはそれまでのビートルズ・ファンのみならず、全てのロック・ファン、さらにはクラシック、ジャズなどロック以外のファンやミュージシャンの間でも大絶賛され、ビートルズはある種「神格化」されるようになりました。
特にこのアルバムを支持したのは、当時アメリカで流行しはじめたヒッピー達でした。彼らはベトナム戦争に反対して、反戦運動を展開、ロックを聴き、ドラッグを常用してそれまでの常識を打ち破り、新たな文化を確立していました。このヒッピーによる文化が吹き荒れた67年を「フラワー・パワー・イヤー」などと呼びますが、このアルバムは正にその「フラワー・パワー」を象徴するものと言えるのかも知れません。そのサウンドももちろんですが、60人にも及ぶ有名人に囲まれたアルバム・ジャケットも大変な話題となりました。
67年度グラミー賞において「最優秀アルバム賞」「最優秀コンテンポラリー・アルバム賞」「最優秀エンジニア賞」「最優秀ジャケット・デザイン賞」の 4部門を受賞。今でも「ロック界の金字塔」といわれ「名盤」の名を欲しいままにしています。
しかし、私にはどうしてもこのアルバムがそれほどありがたいモノには感じられないんです(笑) それは恐らくアルバム自体に名曲が少ないからでしょうか?確かにその展開、構成は素晴らしいし、特殊録音やアレンジの斬新さ、なんと言っても録音技術の凄さと音の良さは現在でも通用する程でしょうし、「名盤」であることも認めますが、どうしても私には世間でいわれているほどの評価を下すことが出来ないのです。決して嫌いではないのですが...と言いつつ避けては通れない「Sgt.Pepper's」に恐る恐る突入することになりました。
今回もいつものようにドラムとホーンセッションの地道な作業?をTeraにお願いしました。その辺りは抜かりもなく何の心配もないところですが、心配は私のギターとヴォーカルです(笑) 実質2分にも満たない短い曲で、それほど難しいこともしていないギターなんですが、わかりにくくニュアンスが難しいんです。
右から聞こえるのはポールパート、中央がアルペジオを中心としたジョージパートなのですが、ジョンは?最初2本でやってみたのですが、やはり物足りない。Teraに聞くと当然ジョンのバッキングは入ってますよとの事、バッキングのみならず微妙なフレーズまで弾いてます。一番解りやすいのがイントロの部分でのギターです。(0:15過ぎ) 全体においてジョンのバッキングが地味ながら入ってます。こうすることでかなり安定感が出ました。
ヴォーカルは私にとって極限的な高さなんで、もう目一杯(笑)声もひっくり返るかどうか寸前のところでスリリングな感じですが(笑)いくらやり直したところで良くもならないので諦めました(^_^;) コーラスはさすがビートルズですね、ややこしいことをやっとります。基本的には4声コーラスのダブル・トラッキングで最後の方で低音のコーラスが入るという9本立て(大汗) "Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band"のコーラスではジョンとポールのコーラスが"Lonely"を挟んで入れ違うのを発見したのですが、歌っているのは私ひとりの多重なんでその効果は全く出てません(笑)
あとは何といってもSE(効果音)の音源探しです。これがなくては「ペッパー軍曹」じゃない。ってそこまでしなくてもよいのか解りませんが、なにしろA型の私とTeraのコンビ。それをせずに済ませる事など不可能です(笑) インターネットで色んなところを探しました。最初のホールのざわめき、これは実は宮殿で録音したというデータを購入して使ってます。実際は風鈴のような鐘のようなカランカランという耳障りな音が所々に入ってるのですが、その入っていない合間をなんとか探して使ってます。ざわめき感が足らないということで、でさらに音源を逆回転で足すという芸の細かいこともやってます(笑)
歓声と拍手まではなんとか探せたのですが、どうしても見つからなかったのが例のお笑い。どうしようかと悩んでいた時、ビートルズ宅録のパイオニア的存在のSさんが以前、見事に再現されていたのを思い出しました。思い立ったが吉日と音源の提供をお願いしたところ、快く協力して下さり、お陰でなんとか完成させることが出来ました。
あ、あと、最初のざわめきの中で突然聞こえる「ポールのあほ」いや、決してそうは言ってないのでしょうが、日本人には絶対そう聞こえるお笑いネタ。これもコピーヤーとしては楽しみのひとつ。声質から言ってこの人をおいて他にはいないだろうとMr-Tにお願いしました(笑) データを録って送ってくれたらいいと言うのにわざわざCutsスタジオまで足を運んでくれました。「ポールのあほ」を言う為だけにです(爆) 結果はお聞きの通り、思い通りです(笑)

                                          2007,10,20    by Cuts