■シックハウス症候群について■

平成15年7月から建築基準法が改正され、シックハウスが話題になっていますが
シックハウス症候群とは何なんでしょう?


1.シックハウス症候群
  とは?

■シックハウス症候群 〔Sick House Syndrome〕

シックハウス症候群とは、住宅の新築や改装工事後、住宅建材から室内に発生する揮発性化学物質やダニアレルゲンが原因で体調不良または健康障害を引き起こす事と言われていますが、未だその定義は明確にされておりません。
主な症状としては頭痛、喉の痛み、眼の痛み、鼻炎、嘔吐、呼吸器障害、めまい、皮膚炎などが上げられていますが、 病気としてのメカニズムと治療法も解明されておらず、医療分野でも対応が整備されていないのが現状です。 この現状を踏まえると、建材メーカー、施工者、そして消費者も自らの手で安全、健康を確保する事を考えなくてはいけないようです。

2.化学物質過敏症
  との違い
■シックハウス症候群と化学物質過敏症の違い

シックハウス症候群同様、化学物質過敏症もまた同じような症状があります。但し、シックハウス症候群は住居内での知覚症状が多いのに対し、化学物質過敏症はあらゆる環境において化学物質に過敏に反応し、排気ガスやタバコの煙など大気中の化学物質をはじめ、化粧品や洗剤などに含まれる微量の化学物質にも反応してしまいます。
このような症状から、化学物質過敏症は日常生活にも大きな支障をきたす場合が多く、現実に自宅を離れ療養生活を余儀なくされている方も少なくありません。
いずれも発症の原因は、日常生活のうえで最も多い時間(睡眠時間を含む)を過ごす住居内の化学物質汚染によるものが多いと考えられており、現に新築・リフォーム後に突然発症したという例が多数報告されています。その中でも特に主婦層が多いと言われている事から、住環境に大きく起因している可能性が指摘されています。但し、発症時期とその可能性については個人差が大きく、それが原因解明の妨げにもなっているようです。
3.対応策 
  これから新築される
  場合
■対応策その1  これから新築される場合

1.敷地条件を把握し、風通しを配慮した窓の配置を計画します。
2.家全体の換気を配慮した平面・断面の計画をします。
3.常時有効な換気ができるよう、小窓や通気口などを施します。
4.有害物質が少ない接着剤や放散が少ない建材などを使用しましょう。建材において
  はE0(JIS規格)またはFc0(JAS規格)製品は低濃度とされていますが、製品段階で
  はその規定値が保たれていない物も有ることがあります。また、隠れた部分の接着
  剤や下地材の選択を誤るとそれも台無しとなる点に注意しましょう。
5.室内空気環境への影響が大きい内装仕上げ材、下地材には優先的に安全な材料
  を使用しましょう。
6.家具を購入する時にも注意しましょう。シックハウス対応していない家具などを持ち
  込むと、せっかく最善の注意を払い改善された住宅が台無しになってしまいます。
4.対応策
  新築後5年以内の
  場合
■対応策その2  新築後5年以内の場合(平成15年7月1日を遡り)

ホルムアルデヒドは家全体の至る処から竣工時より5年以上は発生しているとお考え下さい。対応策のひとつとして言える事は、まず第一に「こまめな換気」「こまめな掃除」だと思います。意識的に窓を開け、新鮮な空気を室内に取り入れ、風通しを良くするのが一番確実に濃度を低減させられるからです。
もし、プライバシーやその他の問題がある場合は、窓を開けても外から解らない環境を整備するのもひとつだと思います。

1.積極的に窓を開け、自然換気や通風を心掛ける。
2.締め切っている時でも室内はもとより、浴室、便所、台所等の換気扇を時々回す。
  5〜6分の換気をするだけでも、室内のホルムアルデヒド濃度はかなり低減され、
  外の空気と変わらなくなります。
2.特に子供部屋は面積が小さい割に、持ち込む家具が多いので注意が必要です。
3.システムキッチンの収納部やクロゼットは、合板がむき出しになっており、ガスが溜ま
  りやすくなっているので注意が必要です。
4.特定は出来ませんが、カーテンやカーペットにはホルムアルデヒドが使用されている
  事があるので注意して下さい。
5.フローリングのワックスは体に悪影響を与えるガスを発散する駆除用の殺虫剤や畳
  などに使われる防腐剤にも気をつけてください。
5.接着剤の選定 

■接着剤の選定
ホルムアルデヒド、トルエン、キシレンの含有量が比較的少ない接着剤に水性エマルジョン系があります。しかし、水まわりや湿度の高いところでは接着力に問題を生じ易いとも言われています。
壁紙施工用でんぷん接着剤では、各メーカーでホルムアルデヒドの放散が少ない製品を販売しているので、製品データシートや試験結果等のデータを取り寄せるのもひとつの選定方法です。

ホルムアルデヒド系接着剤

尿素(ユリア)系樹脂 ユリア
ホルムアルデヒド
合板、パーティクルボード、MDF、内装用集成材
メラミンユリア共縮合樹脂 メラミン、ユリア
ホルムアルデヒド
JAS1類合板、パーティクルボード、MDF、集成材
フェノール樹脂 フェノール
ホルムアルデヒド
合板、パーティクルボード、OSB、LVL
フェノールメラミン共縮合樹脂 フェノール、メラミン
ホルムアルデヒド
JAS特類合板(構造用合板)
レゾルシノール系樹脂 レゾルシノール
ホルムアルデヒド
構造用集成材
6.塗料の選定 ■塗料の選定
水性塗料=天然塗料だと勘違いされている方が多いようです。
水性塗料とはエマルション系塗料です。 エマルションというのは、樹脂を小さな微粒子にして水に分散させたものです。 この微粒子が塗装されると、微粒子同志をくっつけ合わさないと塗膜にはなりません。
ところが、この微粒子同志は、そのままではくっつき合わないので、くっつき合わせる手伝いのために、水に溶ける溶剤や可塑剤を添加します。
この水に溶ける溶剤は、一般には、セロソルブ系の物が多く、概して身体にはよくありません。 又、水に溶ける溶剤は一般に沸点が高いためになかなか蒸発して無くなってくれません。 つまり、しつこく塗膜に残留しますので、何時までも放出されます。
水系といっても、有機溶剤を普通は10%程度、ひどい物では20%位含有しています。完全に水系で有機溶剤を含まない物はほとんどありません。 一部、完全水系と称している物は、樹脂のTg(ガラス転移点)が低い樹脂をつかっているものか、あるいは焼き付けのような高温に加熱して硬化乾燥させるタイプの物です。 樹脂のTg(ガラス転移点という温度)とは、この温度以上で樹脂が柔らかくなる温度です。Tgが高いと硬い樹脂、Tgが低いと柔らかい樹脂(例えばゴムや粘着剤の様な物)を意味します。 又、水系塗料は腐りやすいので、防腐剤が入っている場合も多いのです。 この防腐剤も悪さをしている原因とも考えられます。
7.木材保存、防蟻剤 
  の選定 
■木材保存、防蟻剤の選定
住宅金融公庫の木造住宅工事共通仕様書で、地盤面から1m以内の部分にあたる土台、外壁部の柱、間柱、筋交い及び下地材には防腐・防蟻の措置を講じることが推奨されています。また、薬剤に代わる耐腐性、耐蟻性の大きい材種(ヒノキ、ヒバ、コウヤマキ、ケヤキなど)を使用することも有効な手段であり、この場合には心材(年輪の中心を持ったムク材)を使用する必要があります。
防蟻剤を使用している場合は床下換気ができるよう配慮し、その際、床下空気が自宅や隣家の室内に流入しないよう、換気製品の性能と設置場所に注意をして下さい。

※VOCの発生源について
ホルムアルデヒドの発生源は建材、喫煙、暖房器具の使用等が考えられますが、その中でも著しく多いのが尿素-ホルムアルデヒド系の接着剤を使った建材や内装材です。ホルムアルデヒド以外のVOC発生源については建材、ビニール壁紙、断熱材、畳、防蟻剤など、ありとあらゆるものが考えられます。




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